第3回チェコ演奏会企画
ブルノを知る連載
2026年9月14日、私たちフィルハーモニックアンサンブル管弦楽団が第3回チェコ演奏会を開催するブルノ。どんな街なのか? 歴史、文化、音楽、街並み、そして人々の魅力まで、少しずつご紹介していきます。
ぜひ一緒に、音楽都市ブルノを旅する気持ちでお楽しみください!

1.ブルノってどこ?
チェコと聞くと、多くの人がまず思い浮かべるのはプラハ かもしれません。けれど、その先にもう一つの魅力的な都市があります。それがブルノです。
ブルノはチェコ第2の都市であり、モラヴィア地方の中心として独自の文化を育んできました。首都の華やかさとは少し違い、ここには落ち着いた時間と、人々の日常が息づく本物の街の表情があります。石畳の広場では人々が語らい、歴史ある建物のすぐ隣には洗練されたカフェや学生たちの笑い声が広がります。
この街の魅力は、「古いものを大切にしながら、新しいものを生み出していく力」にあります。中世から続く歴史、大学都市としての知性、そして芸術を愛する空気。そのすべてが自然に混ざり合い、ブルノならではの空気をつくっています。
そして何より、ブルノには音楽があります。チェコの大作曲家ヤナーチェク が愛したこの街では、今も劇場やホールに音楽が響き、人々の暮らしの中に文化が生き続けています。近年のブルノは、歴史都市であると同時に、未来へ向かう都市としても注目されています。空港の路線網も拡大し、中欧の玄関口としての存在感を高めています。
日本からはヨーロッパ主要都市を経由して訪れるのが一般的で、ウィーン やフランクフルト から鉄道で向かう旅も人気です。都市のサイズがほどよく、周辺国へのアクセスも良いため、中欧を巡る拠点としても魅力があります。日本との時差はマイナス8時間(サマータイム時はマイナス7時間)です。ブルノは、地図の上では“第2の都市”。けれど訪れた人の心には、“特別な街”として残る場所です。

2.歴史ある街
ブルノの歴史は中世までさかのぼります。現在の街の基礎が築かれたのは11〜13世紀頃とされ、1243年には都市としての特権が与えられ、本格的な発展が始まりました。交易路の要衝に位置していたことから、人や物が集まり、モラヴィア地方の重要な都市へと成長していきます。
その後のブルノは、幾度もの戦乱や時代の変化を乗り越えてきました。17世紀の三十年戦争では包囲戦に耐え、街の名をヨーロッパに知らしめました。丘の上にそびえる シュピルベルク城は、そうした激動の歴史を静かに見守ってきた象徴です。
19世紀になると産業都市として大きく発展し、繊維業や機械工業が栄え、「モラヴィアのマンチェスター」とも呼ばれました。中世の面影を残す旧市街と、近代化によって築かれた街並みが共存しているのもブルノならではの魅力です。
現在、街を歩けば石畳の広場、歴史ある教会、重厚な建築物が各所に残り、過去と現在が自然に溶け合う風景に出会えます。観光地として飾られた歴史ではなく、人々の暮らしの中に生き続ける歴史―それがブルノの大きな魅力です。
ブルノは、何世紀もの時間を積み重ねながら、今もなお歩み続けている街です。

3.シュピルベルク城
ブルノの街を見下ろす丘の上に建つシュピルベルク城は、この街を象徴する存在です。遠くからでもその姿を見ることができ、ブルノの歴史を語るうえで欠かせない場所となっています。
この城は13世紀、ボヘミア王家のもとで築かれました。当初は王の居城として、またモラヴィア地方を守る重要な拠点として機能しました。その後、時代とともに大規模な要塞へと整備され、ブルノ防衛の中心的存在となっていきます。
特に知られているのが、1645年のスウェーデン軍による包囲戦です。三十年戦争の末期、ブルノの守備隊と市民は激しい攻撃に耐え、街を守り抜きました。この出来事は、現在もブルノの誇りとして語り継がれています。
この戦いにまつわる有名な逸話が「11時の鐘」です。伝説によれば、敵軍が正午までに陥落しなければ撤退すると決めていたため、ブルノ側は1時間早い11時に鐘を鳴らし、撤退を早めさせたとされています。現在も聖ペテロ・パウロ大聖堂では11時に鐘が鳴り、街の名物の一つとなっています。
18〜19世紀には、城は帝国の監獄としても知られるようになりました。とくに地下施設「カゼマット」は、城内でも印象的な見学スポットです。厚い石壁と静かな空間には、要塞と監獄の歴史が色濃く残されています。
現在のシュピルベルク城はブルノ市歴史博物館の拠点の一つとして公開され、展覧会や文化イベント、季節の催しなどが行われています。城の丘からは、旧市街の赤い屋根、聖ペテロ・パウロ大聖堂の塔、そして現代的な街並みまで一望できます。歴史の舞台であり、市民の記憶であり、今は文化を育む場所―シュピルベルク城は、ブルノの過去と現在を結ぶ特別な存在です。
ブルノを訪れたなら、まずこの丘の上から街を見渡したくなる。そんな場所がシュピルベルク城です。

4.聖ペテロ聖パウロ大聖堂
ブルノの街を歩き、ふと空を見上げたとき。ひときわ印象的にそびえる二つの尖塔が目に飛び込んできます。それは街のシンボル、「聖ペテロ聖パウロ大聖堂」。
丘の上に建つその姿は、中世から現在に至るまで、街のどこからでも道標のように人々を迎え入れてくれます。この場所の起源は11〜12世紀頃の教会にまでさかのぼります。時代とともに増改築が重ねられ、現在の特徴的なネオゴシック様式の双塔が完成したのは20世紀初頭のこと。今ではブルノのスカイラインを象徴する、欠かせない景色となりました。
大聖堂が建つ丘は「ペトロフ(Petrov)」と呼ばれ、市民にとっての憩いの場でもあります。ここから見渡す旧市街のパノラマはまさに格別。昼は、青空に映える赤い屋根のコントラスト。夕暮れは、街全体をやわらかな光が包み込むマジックアワー。夜はオレンジ色の街灯が灯る幻想的な夜景。
観光名所としてだけでなく、買い物中やカフェでのひととき、ふと聞こえてくる鐘の音は、ブルノの暮らしのリズムそのものです。
前回の連載でご紹介した、三十年戦争における「11時に鳴る正午の鐘」の伝説。スウェーデン軍を退けたあの機転の舞台こそが、まさにこの大聖堂です。今もなお11時に響き渡るその音色は、この街の誇り高き歴史を現代に伝える、生きた鼓動とも言えるでしょう。
一歩内部へ足を踏み入れれば、外観の華やかさとは一変、荘厳な祭壇と美しいステンドグラスに彩られた静謐な空間が広がります。長い歴史の中で、人々の信仰と街の象徴として大切に守られてきた、祈りの重みを感じることができます。
歴史ある丘の上から街を見守り、今も独特のリズムで鐘を響かせ続けるブルノの大聖堂。この街を訪れたなら、まずは空を見上げてください。そこに、ブルノの魂が立っています。

5.カフェ
ブルノの魅力のひとつが、街のあちこちに点在する個性豊かなカフェです。石畳の旧市街を歩けば、歴史ある建物の中や路地の一角に、思わず立ち寄りたくなるような空間が広がっています。
カフェは、単にコーヒーを飲む場所ではありません。人が集い、語り、考え、時間を過ごす―いわば“もうひとつの居場所”。ブルノでもその文化は自然に息づき、学生や地元の人々がそれぞれの時間を楽しんでいます。
ブルノはチェコ有数の大学都市。多くの学生が暮らすこの街には、首都 Prague と比べてやや落ち着いた空気が流れ、物価も比較的穏やかです。気取らず、長居できるカフェが多いのも、その魅力のひとつです。
たとえば、Café Momenta のように広場に面したカフェでは、街の風景を眺めながらゆったりとした時間を過ごすことができます。また、SKØG Urban Hub のような現代的で洗練された空間では、ブルノの若い感性や新しい文化の息吹を感じることができます。
カフェでぜひ味わいたいのが、中欧らしい一杯。たとえば、ホイップクリームをのせた「ヴェドニ・カフェ(Vídenská káva )」は、やわらかな口当たりと豊かな香りが特徴です。そして甘いもの好きには、蜂蜜の風味が層のように重なる伝統菓子「Medovník 」も外せません。コーヒーとともに過ごす時間を、より豊かなものにしてくれます。
旧市街の広場に面したカフェで街を眺める時間もあれば、モダンで洗練された空間で静かに過ごす時間もある。ブルノのカフェには、観光地と日常が自然に溶け合う心地よさがあります。
急がず、予定を詰めすぎず、ただ座って時間を味わう―そんな過ごし方が似合う街。
コーヒーの香りとともに流れるゆるやかな時間こそ、ブルノという街の魅力そのものです。

6.ヤナーチェクの街
チェコを代表する作曲家 Leoš Janáček(レオシュ・ヤナーチェク)。その創作の多くは、ブルノという街と深く結びついています。
ヤナーチェクは長年ブルノで暮らし、教育者として後進の指導にあたると同時に、この街の音や言葉、人々の暮らしから着想を得て作品を生み出しました。彼は日常の会話の抑揚やリズムを音楽に取り入れる独自のスタイルで知られ、チェコ語の響きそのものを音楽へと昇華させた作曲家でもあります。
代表作にはオペラ《イェヌーファ(Její pastorkyňa)》や《利口な女狐の物語(Příhody lišky Bystroušky)》などがあり、20世紀音楽の中でも独自の位置を占めています。これらの作品の背景には、ブルノでの生活やモラヴィア地方の文化が色濃く反映されています。
現在のブルノには、Janáček Theatre(ヤナーチェク劇場/Janáčkovo divadlo)があり、オペラやバレエの公演が行われています。また、国際音楽祭 Janáček Brno(ヤナーチェク・ブルノ)も開催され、世界中の音楽ファンがこの街を訪れます。
街を歩くと、ヤナーチェクの存在を身近に感じることができます。例えば、Statue of Leoš Janáček(ヤナーチェク像)は、彼の音楽と街との結びつきを象徴する場所のひとつ。また、歴史ある Church of St. Thomas(聖トマス教会/Kostel svatého Tomáše)周辺も、ブルノの文化的な空気を感じられるエリアとして知られています。さらに、ヤナーチェクが暮らした家は Janáček House(ヤナーチェクの家/Janáčkův dům)として公開されており、彼の創作の軌跡に触れることができます。
ブルノの街を歩くと、劇場の舞台だけでなく、何気ない日常の中にも音楽の気配を感じることがあります。それは、この街にヤナーチェクの精神が今も息づいているからかもしれません。ブルノは、ヤナーチェクが生き、聴き、そして音楽へと昇華した“音の街”なのです。

7.モラヴィア
ブルノは、チェコ東部に広がるモラヴィア地方の中心都市です。チェコは大きくボヘミア、モラヴィア、シレジアの3つの地域に分かれ、その中でモラヴィアは独自の歴史と文化を育んできました。
モラヴィアはかつて「Great Moravia」と呼ばれる国家の中心でもあり、中欧の歴史において重要な役割を果たしてきた地域です。その伝統は今も人々の暮らしの中に息づいています。
この地域の魅力のひとつが、豊かな民俗文化です。色鮮やかな民族衣装、伝統的な音楽や舞踊、そして季節ごとに行われる祭り。ブルノ周辺でも、そうしたモラヴィアらしい文化に触れる機会が多くあります。
また、モラヴィアはチェコ随一のワイン産地としても知られています。温暖な気候と肥沃な土地に恵まれ、白ワインを中心に高品質なワインが生産されています。ブルノの街でも、気軽にその味を楽しむことができます。
さらに、モラヴィアの人々は温かく親しみやすい気質で知られ、どこか素朴で穏やかな空気が流れているのも特徴です。首都プラハとはまた違った、ゆったりとした時間を感じることができます。
歴史、文化、自然、そして人々の暮らし―そのすべてが調和するモラヴィア地方。その中心にあるブルノは、チェコのもう一つの魅力を感じさせてくれる場所です。ブルノを訪れることは、モラヴィアという文化そのものに触れる旅でもあります。

8.メンデルの街
「エンドウ豆の実験」学校の理科の授業で一度は聞いたことのあるその研究は、実はブルノで行われました。
その人物こそ、遺伝学の基礎を築いた修道士Gregor Mendel(グレゴール・メンデル)です。
メンデルが研究を行っていたのは、
ブルノにある St. Thomas Abbey(聖トマス修道院)。この静かな場所で、彼はエンドウ豆の交配実験を繰り返し、「遺伝の法則」という画期的な理論を発見しました。当時はほとんど注目されなかったこの研究が、後に世界の科学を大きく変えることになります。
メンデルの発見は、現在の遺伝学・医学・農業など、あらゆる分野の基礎となっています。ブルノは音楽の街であると同時に、“科学の歴史が生まれた街”でもあるのです。
修道院の庭には、当時の研究を再現した展示もあり、メンデルが見ていた景色に思いを重ねることができます。静かな空間の中で、世界を変えた発見が生まれた場所に立つ、そんな特別な体験ができるスポットです。
音楽だけではない。ブルノは、人類の知の歴史を動かした街でもあります。

9.ワインの街
ブルノが位置する南モラヴィア地方は、チェコを代表するワインの名産地です。温暖な気候と豊かな土壌に恵まれたこの地域では、古くからブドウ栽培が行われ、現在も国内ワイン生産の中心を担っています。
なかでも特徴的なのは、フレッシュで香り高い白ワイン。Riesling や Grüner Veltliner、Pálava など、モラヴィアならではの品種が親しまれています。やわらかな酸味と繊細な香りは、料理ともよく合い、日常の中で気軽に楽しまれています。
ブルノの街中でも、そのワイン文化に触れることができます。カフェやレストランではグラスで気軽に注文でき、地元の人々がワインを片手に語らう光景は、ごく自然な日常の一コマです。
さらに少し足を延ばせば、ブドウ畑が広がるのどかな風景へ。収穫の季節には「ブルチャーク(発酵途中の若いワイン)」が出回り、この時期ならではの味覚として親しまれています。
モラヴィアのワイン文化は、観光のためだけのものではなく、人々の暮らしに根ざしたもの。特別な日に開けるだけでなく、日々の食卓や会話の中に自然に溶け込んでいます。
グラスを傾けながら過ごす穏やかな時間―それもまた、ブルノという街の魅力のひとつです。

10.地下都市ブルノ
歴史ある街・ブルノ。その魅力は地上だけではありません。石畳の街並みの“その下”には、何世紀にもわたる歴史が眠る地下世界が広がっています。ブルノ旧市街の地下には、中世以来の地下通路や貯蔵庫、防空壕、納骨堂などが複雑に残されており、「地下都市」とも呼ばれる独特の空間を形成しています。
とくに有名なのが、Labyrinth under the Vegetable Market(野菜市場の地下迷宮)。旧市街中心部の「Zelný trh(野菜市場)」の地下には、中世から使われてきた地下室や通路が広がっています。かつてはワイン、食料、ビールなどを保存するための空間として利用され、暑い夏でも一定の温度を保てる“天然の冷蔵庫”のような役割を果たしていました。薄暗い石造りの通路を歩くと、まるで中世のブルノへ迷い込んだような感覚になります。
さらにブルノには、Brno Ossuary(ブルノ納骨堂)があります。これはヨーロッパでも有数の規模を持つ納骨堂で、長い歴史の中で埋葬された人々の遺骨が静かに安置されています。内部は厳粛で静かな空気に包まれており、単なる観光名所ではなく、“歴史と祈りの場所”として大切に守られています。
そして、Špilberk Castle の地下施設「カゼマット(Kasematy)」も忘れることはできません。厚い石壁に囲まれた空間には、要塞都市ブルノの記憶が今も残されています。静かな地下空間には、地上とは異なる緊張感と歴史の重みがあります。
カフェや音楽、学生文化で知られるブルノ。けれどその地下には、中世から続く“もうひとつの街”が広がっています。地上のにぎわいとは対照的な静寂の中で、歴史の時間を体感できる―それが地下都市ブルノの魅力です。ブルノは、空を見上げても美しい。けれど、地下へ降りてもまた魅力的な街なのです。

11.市場と広場
ブルノの旧市街を歩いていると、この街が“人の集まる街”であることを自然に感じます。その中心にあるのが、歴史ある広場と市場です。石畳の広場にはカフェのテラス席が並び、人々が語らい、待ち合わせをし、季節ごとのイベントを楽しむ――。ブルノの広場は、単なる観光スポットではなく、市民の日常そのものが息づく場所です。
ブルノ最大の中心広場が、Náměstí Svobody(自由広場)。中世から街の中心として栄えてきたこの場所には、歴史的建築と現代的なショップやカフェが自然に共存しています。昼には学生や観光客でにぎわい、夜にはライトアップされた街並みが美しい表情を見せます。クリスマスマーケットや音楽イベントなども開催され、季節ごとに異なる雰囲気を楽しむことができます。
もうひとつ欠かせないのが、Zelný trh(野菜市場)。中世から続くこの市場では、現在も野菜や果物、花などが並び、地元の人々の日常の買い物の場として親しまれています。観光地でありながら、“生活の匂い”がちゃんと残っている―それがブルノの市場の魅力です。周囲には歴史的建築や劇場、地下迷宮への入口もあり、歩くだけでもこの街の歴史を感じることができます。
ブルノの広場では、一年を通してさまざまなイベントが開かれます。春から夏にかけては屋外コンサートやフェスティバル、冬には中欧らしいクリスマスマーケット。温かな飲み物を片手に、人々がゆっくり時間を過ごす光景は、この街ならではの風景です。音楽都市ブルノらしく、広場に音楽が流れることも珍しくありません。歴史ある空間の中に、自然に文化が溶け込んでいます。
ブルノの広場には、「通り過ぎる場所」ではなく、「立ち止まりたくなる空気」があります。ベンチに座る人、カフェで語り合う人、市場を歩く人。そこには観光地というより、“街そのものの暮らし”があります。ブルノの魅力は、建物だけではなく、人々が集い、時間を共有する広場の空気にあるのかもしれません。

12.ブルノのドラゴン伝説
ブルノの街には、“ドラゴン”がいます。―そう聞くと、おとぎ話のようですが、これは今も街に残る本物の伝説です。
ブルノ旧市街の Old Town Hall(旧市庁舎)へ足を踏み入れると、天井から吊るされた不思議な生き物が目に入ります。それが「ブルノのドラゴン(Brněnský drak)」です。
実はこのドラゴン、正体はワニ。けれど中世ヨーロッパの人々にとって、遠い異国から運ばれてきたワニは未知の生き物でした。そのため、人々はそれを“ドラゴン”だと考えたのです。現在も旧市庁舎に展示されており、ブルノを代表するユニークなシンボルとして親しまれています。
このドラゴンには、こんな伝説があります。昔、ブルノ近郊に恐ろしい怪物が現れ、人々を困らせていました。そこである賢い人物が、石灰を詰めた動物の皮を食べさせて退治した―という物語です。もちろん伝説には諸説ありますが、こうした“街の物語”が今も語り継がれているのも、ブルノの魅力のひとつです。
ドラゴンがいる Old Town Hall は、ブルノ最古級の歴史的建築でもあります。
特徴的なのが、入口上部の少し曲がった装飾。これはブルノの有名な逸話のひとつとして知られています。中庭を抜けると塔へ登ることもでき、旧市街の美しい景色を一望できます。
ブルノでは、歴史と伝説がとても自然に共存しています。中世から続く街並みの中に、ドラゴンの物語が今も残り、人々に親しまれている。そんな少し不思議な感覚が、この街にはあります。ブルノを歩くと、ただ歴史を見るだけではなく、“物語の中を歩いている”ような気持ちになるのです。

